"アメリカ、メキシコに限らず、南米大陸にも日本発のインスタントラーメンは、広く普及している。時代は少し前になるが1996年にペルーで発生した日本大使公邸占拠事件では、占拠したゲリラ組織とその人質が、公邸内で同じインスタントラーメンを食べたというエピソードがあった。
日本人24人を含む71人が127日間にわたる人質生活を送ったこの事件で、赤十字を通して人質たちに届けられた食料品の中にインスタントラーメンがあった。犯人グループの中には、10代の少女も交ざっていた。グループの女性メンバーは、人質に勧められたこのラーメンを「おいしい、おいしい」と喜んで食べたという。ペルーでもインスタントラーメンは、きわめて安い値段で手に入る食材である。だが、この少女はそれすらも食べたことがなかったのだ。犯人グループはMRTA(トゥパク・アマル革命運動)を名乗る共産主義運動ゲリラ組織だが、この少女は極貧の環境から抜け出すために組織に参加していた。
少女は、初めて食べたラーメンに感動し、これを家族のために持ち帰ろうとリュックサックに詰め込もうとして、リーダーにしかられたという。結果的にはこの事件の犯人たちは、ペルー軍・警察の特殊部隊の突入によって全員射殺された。少女も家族にインスタントラーメンを食べさせることはかなわなかったのだ。"
—ラーメンと愛国/速水健朗 (via 010734)
(via otsune)
1 month ago